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【速報】最新の中国商標実務 ~6月公表の審理中止の規範化を踏まえ

2023年07月12日 (水)

2023年1月に公表された中国商標法パブコメ案(第5次改正草案)//kateorne.com/news/12935/
は、不正な冒認出願対策、商標の使用義務の強化、繰り返し行われているバックアップ出願(リレー出願)の抑制等の問題を取り上げた大幅改正案でもあり、内外において広く反響がありました。国家知識産権局(CNIPA)は、4月に「悪意の商標登録に関する体系的ガバナンスと高質な業務促進計画 (2023~2025 年)」の2ヶ年計画を発表しています。コロナも収束に向かっている中で国家レベルで現在の商標制度にメスを投じる決意表明であると捉えられます。

改正草案は、国務院審議前のフェーズであり、今後大幅に変更される可能性もあります。一方で、悪意の商標対策等について、実務が先行し規範的に動いている点もあり、日本企業としては特にかかる実務動向に注目していただきたいと思います。現段階での実務動向を以下にまとめましたのでご参考になさってください。なお、弊所では、①の通知がなされない出願シナリオのご提案、②③につきましては行政又は司法の適切な中止申請を案件毎にご提案しております。ご不明な点がございましたら、弊所担当に都度ご相談ください。

①使用を目的としない悪意の出願(4条)の適用拡大
数百を超える商標権の保有企業、数ヶ月で20件を超える出願がなされる等、通常の経営活動を超える出願行為がなされた場合には、使用(使用の意図)を確認する拒絶査定前の審査意見書(4条適用)が通知されやすくなっています。実務においては、本来の業務外の区分を防衛的に多く出願される場合、新ブランドのローンチ時等に大量出願を行う場合等が想定されます。かかる場合には、実際の使用状況や使用の意思の確認が求められ、その後実体審査となります。

②審判の審理中止の義務

繰り返し行われているバックアップ出願(リレー出願)の抑制等の必要性から、CNIPAは「審判事件中止状況規範」を交付し、6月付けでその解釈を公表しています。ここでは、”必要性の原則”を基本として、以下7類型(1~7)について審理中止義務、残る3類型(8~10)について裁量による中止が判断されるとの解釈を示しています。前半7類型については所定の期間に書面による審査の中止を求める必要があり、審理再開に際しても書面にて通知をすることとなります。

1)引用商標が名称又は名義変更中であり、その変更により抵触関係が解消する場合
2)引用商標の存続期間満了しており、当該商標について更新手続又はグレースピリオド中である場合
3)引用商標が取消請求又は取下申請中である場合(三年不使用等が該当)
4)引用商標が消滅後1年未満(三年不使用は除く)である場合
5)引用商標に係る訴訟が終結し判決確定待ち、又は判決執行の再審中である場合
6)関連する既得権が別訴係属中、又は行政事件係属中でその結論に影響する場合
 ※6)は異議決定取消審判、無効審判用(現商標法35条4項、45条3項の「中止できる」が「中止しなければならない」に運用変更)
7)引用商標の権利状況が審理中の別訴又は行政事件の結果に影響し、かつ出願人が審理の中止を明示している場合 
 ※7)は拒絶査定不服審判のみ
8)拒絶査定不服審判にかかる引用商標が無効審判に係属、他の事件で引用商標権者が悪意の条項に該当していることが判明した場合
 ※悪意性が高い場合には中止されることがあるが、申請による中止ではなく、具体的な状況に応じて決定
9)先に判決や裁定を受けている共通又は関連する訴訟の進行を待つ必要性がある場合
 ※行政及び司法における審理の矛盾を排斥し、当事者の負担軽減を図るために個々の事情に基づき中止を決定
10)その他審理中止が必要な場合で(中止しなければ)審理をし尽せないとき
 ※必要性の原則と合法権利者有利の原則に従い、上述の状況を参照し審判官が具体的事情を勘案し審理中止の是非を判断

③審決取消訴訟における新基準
②はCNIPAの規範であり、司法段階では適用されません。一方、6月21日付で北京知識産権法院は、仮提訴のための申請書を発行しております(6月25日施行)。これにより外国企業からの審決取消訴訟等については公証認証の準備期間として、現行の3ヶ月から6ヶ月に延長されることとなりました。また、拒絶査定不服審判にかかる審決取消訴訟については、引用商標の権利関係が安定していない等の事情による中止を求めることができますが、所定の条件に従うことで最長期限として12ヶ月の中止が認められることとなりました。